江戸期から続く十二座神楽で、毎年２月第三土曜日、稲葉山神社で奉納されます。 天明三年（1783）の浅間山大噴火で三昼夜にわたり灰が降り、困った村人たちが神社に歌や踊りを奉納して祈ったのが始まりと伝わります。 写真は、舞台の露払いをする猿田彦の舞。

演目は「猿田彦大神・天鈿女命・八幡大神・三宝荒神・天乙女命・天手力雄命・事代主命・春日大神・稲荷大神・種蒔翁附白狐舞・素戔嗚尊」の十一座と稚児舞が演じられます。 写真は、天の岩戸から天照大神を誘い出した天鈿女命の優雅な舞。

神楽は、長く神官が伝えましたが、明治中期から氏子が舞い伝えています。 神楽師は７〜８年勤めて後継者に譲ります。 後継者難で平成５年（十三世）で一度中断し、平成16年に復活しました。 写真は、三宝（仏・法・僧）の守護神で不浄災難を打ち払う三宝荒神の荒々しい舞。

神楽師と囃子方は30代が中心で、両方を器用にこなします。 高く跳ねたり、逆立ちをしたりと、大きな所作が見どころです。 舞い手の「練習は大変だけど、好きなので大丈夫」と話す笑顔が印象的でした。 写真は、農業と穀物の神で知られる稲荷。

最後の演目は、素戔嗚尊。 乱暴な行状で天照大神を怒らせ、天界から追放されますが、最後は神剣でヤマタノオロチを退治して櫛名田比売（くしなだひめ）を救い、出雲の神となりました。 蛇に見立てた天井の〆縄を見事に切り、切った縄は地元の皆さんが御守りとして持ち帰ります。