忽戸の三番叟（さんばそう）は、荒磯魚見根神社の夏祭り（毎年七月第二土〜日曜日）で、五穀豊穣と大漁豊作を祈願して奉納されます。 飢饉の際、雨乞いで舞いを奉納したところ、雨が降って救われたことから、「雨乞い」の意味を持つとも云われています。

舞い手は、千歳（農村の若者役）・翁（長老役）・三番叟（農民役）の３人です。 忽戸では氏子の長男で小学生の男児が演じます。 まず、千歳（農村の若者役）の露払いの舞で幕が開きます。

面をつけた翁（農村の長老役）の祝言の舞。 集落の幸福と五穀豊穣を祈る舞いで、腰を落とした足の運びが独特です。 小学生とは思えない見事な舞を披露してくれました。

最後は三番叟（農民役）が、直面で揉みの段（露払い）を舞い、黒式尉（こくしきじょう）の面をつけて、千歳と候（そうろう）調の古語体で掛け合いをします。 写真は、尉の面で演じる鈴の段（祝言）の舞。

お囃子は、笛・小鼓３・大鼓で、素朴な囃子と柔らかな合いの手が特徴です。 古い芝居小屋と岩を削った観客席が残る忽戸の三番叟は、平磯とともに「千倉の三番叟」として県無形民俗文化財に指定されています。