人形供養の朝、たくさんの人々が大切な人形を抱えて成顕寺に集まります。 役目を終えた数百体の人形たち。 持ち主は静かに手を合わせて別れを告げていました。

人形を供養する文化は日本独自で、多くは昭和以降に始まった風習とされています。 流山の人形供養は、もとは平和台の本行寺で始まり、同寺には「（流山）人形供養発祥の地」碑が建っています。 現在は、駒木の成顕寺（日蓮宗）で行われ、今年で34回を数えました。

導師が人形たちに塩・酒・米を撒いて浄め、木剣数珠をカチカチ打ち鳴らしながら九の字に切り、邪気を払います。 木剣（ぼっけん）数珠というのは、日蓮宗に特徴的な法具です。 この後、忌み竹で囲んだ斎場で人形たちをお焚き上げします。

人形に宿る魂は持ち主の魂を映しているそうです。 愛された人形は優しい表情に、そうでない人形は冷たい表情に見えるのだとか。 人々の様々な想いを胸に、人形たちは炎の中へ消えていきます。

静かに燃え尽きる人形たち。 たくさんの想い出が、黒煙とともに空高く昇って行きます。 この人形供養会は、流山市観光協会が主催して、毎年10月第二土曜日（2020年から12月第一土曜日に変更）に行われています。