先祖の霊を慰め、再び送る盆踊り。 その起源は、鎌倉期の念仏踊りと云われています。 東総地方で昭和20年ころまで盛んに踊られた盆踊り唄「権左が西国・東上総・庄八」が、今も八日市場では踊られています。

輪の中心に縁台を置き、大蝋燭（現在はLED蝋燭）と提灯の明かりで、囃子方が座ります。 お囃子は、ツケ・オオカワ・コカワ・ショウ・篠笛で、くどき調の唄が入ります。

「権左が西国（なあー）長の旅する、あとではお方が（なあーよー）お茶の水くむ、お茶水くめども桶に水なし、あれ見よ筑波の山の横雲、横雲したこそおらが親里、銚子は名所で金がより来る、あさまし飯岡は死貝より来る、高神名主の庭のほしもの、海草にかじめにひじきのげのり、鏑木酒屋の嫁の寝言に、この米つかずに酒になればと」（写真は米倉囃子連）。

旧野栄町野手西宿を中心に唄われた「庄八」。 堀川生まれの庄八が野手へ婿に入り、大しけの海で遭難したので、貞女の女房は来る日も来る日も墓前で嘆き悲しみ、不憫に思った円長寺の住職が唄をつくってあげたと伝わります。 踊りの所作は、基本的に他の唄と同じです。

かつては先祖の霊と一晩中踊る地方も珍しくありませんでした。 盆踊りが終わり、先祖の霊を送ると暑い夏が終わります。 八日市場の盆踊りは、米倉・砂原地区（県無形民俗文化財）のほか、萬町や福富町など各町の盆踊りでも踊られています。